Fate/dragon’s dream
Interlude 3-2
――interlude 3-2
「――っかし、遅くなっちまったなぁ」
「もう! シグのホウコンオンチ! 遅くなった、じゃないわよう」
「まあいいってことよ。多少迷ったが、首尾良く回収できたし、入り口も見つけたんだからな。上々だろ」
橋上の歩道に見えるのは、スタスタ大股で歩くジークフリートに、ちょこちょこと小走りでついていくファフニール。あーあと伸びをするジークフリートに、歩きまわらされたファフニールはプンスカ怒っていた。
「ところでさ、やっぱり聖杯戦争終わっちゃってるって言ってたわよね。じゃあなんで、アルトリアさんは残れてたわけ? 誰かの魂食べてたのかな? うえぇ、そんなエグいことする人にはあんまり見えなかったんだけどなー」
「さぁな。大方、あのマスターの嬢ちゃんが無理に引きとめたんだろうが……」
「聖杯の助力なしでサーヴァントをこの世に引きとめるって、それすごくない?」
「ああ、相当の魔力量がないと無理だろ。あの嬢ちゃんは年齢の割にかなり強力な魔術師だってこった。
だがよ、それを言うなら、オレはむしろあの小僧の方が気にかかる」
「あの赤毛のツンツン頭?」
思い出す。一応魔術師らしかったあの赤毛の少年だが、魔力はもう一人の少女と比べるとてんで低く、別に警戒すべき相手とも思えなかった。しかし、サーヴァントでさえ気付かなかったグラムの封印解除にはただ一人気付き、宝具の真名から自分の正体まで全部知られてしまった。
正式な聖杯戦争のつもりで戦っていた二人は、いきなり正体が暴かれたことに少なからず動揺したのだったが―― ああ。魔力はてんでたいしたことねぇが、――なんか得体の知れないものを隠してるような感じだったが。
「シグの勘はよく当たるしね。それに、ヒンダルフィヨルの炎術を見破ったのあいつだったし」
「ほんの一瞬だったのにな。眩しくて見えねぇと思ったが、あのヤロウだけは見逃さなかった。
……ま、あれはオレのミスだ。甘く見てたが――そういう事情なら別に正体隠す必要もないわな」
うんうんと頷く。
「……ね、シグ。シグは驚かなかった? あの二人見たとき」
「――驚かないわけはねぇだろ。……――だからといってやることは変わらねぇよ」
「――」
「どっちにしろ竜は狩る。――それだけだ」
そして、二人は足を止め、遥か前方の三人を見据える。
――interlude out